事例
2023.12.18
SCM・ロジスティクス改革→SCM・ロジスティクス管理システム構築
事例)生産管理・調達・輸送領域の供給LT(リードタイム)短縮
プロジェクト背景
工作機械メーカーS社
S社は、時計や自動車、医療向けの精密部品を加工する工作機械で高いシェアを持つ中堅企業です。
ROSは15%を超え、ビジネスは堅調といえる状況でしたが、競合他社は在庫を保持する事で、受注~納品までのLTを短くする戦略を取ってきました。一方S社は、極力在庫を持たず受注生産を主としていた為、機会損失が度々発生するようになりました。
S社は、在庫保持を含むLT短縮が最大の課題であると認識し、サプライチェーン改革プロジェクトを立ち上げ、外部のコンサルティングファームからの支援を受ける為に、コンペを実施しました。
コンサルティングファームX社からはLT短縮策として、競合他社と同様に在庫保持による受注~納品までの仮想的なLT短縮のみの提案に対し、弊社は、在庫保持による仮想的なLT短縮に留まらず、本来のLT短縮があるべき姿であり、実質的なLT改善施策の立案と、実行計画の策定支援を含めた、段階的LT適正化案を提案し、受注に至りました。
市場を取り巻く環境変化
2020年は、新型コロナの影響で売上は落ちましたが、翌年以降、売上は回復してきました。
海外売上比率は90%と高く、中国向けの売上比率が高いものの、昨今は欧米向けの売上比率が増加傾向となっています。国内では既存ユーザーが95%を占め、新規ユーザー比率は5%と低いですが、欧米は新規ユーザーが20%を占め、国内に比べて新規ユーザー比率が高い状況となっています。
既存ユーザーであれば、使い勝手からリピート受注を獲得しやすいのですが、新規ユーザーから受注を獲得するためには、受注~納品までのLTは大変重要視されます。しかし、S社は生産拠点と製品倉庫がアジアにしかない為、欧米への納品には輸送LTが加算され、全体LTは長期化されています。
また、近年は欧米だけでなく、中国市場からもLT短縮が更に求められるようになり、S社にとってLT短縮は最重要課題であり、機会損失を防ぐ為にも早急に取り組む必要がありました。
<市場環境>
- 海外売上比率が高く、なかでも中国向けの比率が高い
- 欧米向け売上比率は年々増加
- 重要市場における要求リードタイムの短期化
環境変化への対応ポイント
弊社は生産管理・調達・輸送領域の専門コンサルタント、弊社グループ会社から製造領域の専門コンサルタントによる協力体制で支援しました。ここでは、弊社担当範囲の支援内容を紹介します。
LT短縮に向けて、以下3ステップでコンサルティングを実施しました。
Step①現状把握
・現場視察&ヒアリング
・基本情報の確認
・サプライチェーン構造、LT構造の可視化
・需要予測精度の分析
Step②在庫保持による仮想LT短縮
・製販/計画投入ルールの課題抽出と見直し
・適正在庫の設定
・適正在庫設定によるインパクトの算出
Step③あるべき姿に向けた全体LT短縮・在庫削減
・各工程LT短縮施策の検討
・需要予測精度向上施策の検討
・改善実行計画の策定
問題点 | 対応ポイント |
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活動成果とポイント
<活動成果> ~改革ご提案内容~
需要予測精度の向上 ・・・ 短サイクル化:実施中
各種LTが長い × 需要予測精度が低い = 供給LT長期化 + 在庫増
↓
各種LT短縮 × 需要予測精度UP = 供給LT短縮 + 在庫減
今回のプロジェクトにおける供給LT短縮のポイント
- 貨物便待ちによる停滞の発生、不安定な注文情報による部品LTの長期化
⇒ 取引先との運搬頻度の最適化、注文情報の内示ルール見直し・引取責任の運用による部品調達LTの短縮 - 低付加価値作業・工程の発生
⇒ セット出庫作業の効率化、コスト・LT・品質の観点からのプロダクトミックスの最適化、現地調達化の推進による各種LTの短縮 - 精度の低い需要情報による生産現場の混乱、余剰在庫の発生
⇒ 需要予測精度の可視化、KPI設定、情報収集の高度化(サイクル/情報元/内容の見直し、インセンティブ制度)による販売計画の精度向上
他業界でのSCM改革事例
食品、飲料、化学、非鉄金属、自動車部品、プラスチック製品など
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