事例
2023.1.5
プロジェクト管理コンサル・事例
NEDO国際実証事業におけるグローバルプロジェクトマネジメント
当社では、多数のグローバルプロジェクトのマネジメント支援を手掛けております。
今回は、弊社コンサルタントがNEDO*国際実証事業である、「マレーシアにおける10分間充電運行による大型EVバス実証事業」に参画し、グローバルプロジェクト管理の経験を活かして、国内外の多くの企業や技術者をとりまとめ、実証実験を完了まで導いた事例をご紹介します。
(*NEDO:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)
「NEDO事後評価委員会のプロジェクトの説明資料(公開)」より引用
プロジェクト背景
当実証事業プロジェクトは、“Putrajaya Green City 2025”支援の一環で、2015年7月にNEDOとマレーシア・プトラジャヤ市のMOU*締結で始動しました。(*MOU:Memorandum of Understanding/基本合意書)
プロジェクトの狙いは、日本の充電技術を活用したEVバス運行を含めたシステムの国際展開で、最終的には、マレーシア及びASEAN地域で都市交通パッケージ事業の広域展開モデル構築を目指しています。
今回のプロジェクトでは、10分間充電運行による大型EVバスの実証試験を、プトラジャヤ市で実施することを目標としています。
(著者撮影)
当社の役割
この事業では、2017年に10台の準日本製EVバスを納め、商用開始していましたが、バスの点検、修理などのメンテナンスは常に日本技術者に依存することとなり、バスの早期正常化運行にすることが困難でした。
そのため、日本コンソーシアム(JC)の提案とNEDOの合意のもと、DD(ダブルデッカー:2階建て) EVバスは、マレーシアでの「現地設計・製造」とする体制改革がおこなわれ、弊社はコーディネーションという役割で、JCの意思と要件を、マレーシアコンソーシアム(MC)にブリッジすると共に、MCの現地構築作業のマネジメントを支援しました。
グローバルプロジェクトマネジメントのポイント
ブレインストーミングはなるべく集合して実施していましたが、プロジェクトのステークホルダーは普段日本・マレーシア・インドのそれぞれの国の拠点にいました。複数の国を跨ぐ推進は、国内のプロジェクトと違うマイルストーンづくりが必要です。
- 各国固有の働き方の考慮
- 各国の長期休日を考慮し、作業連携を円滑にする。例えば、日本の大型連休前に、現地に計画を共有して、作業を継続。またはその逆で、現地が休暇の時は、日本や他国がタスクを遂行できるスケジュール作り。
- 1日間の作業に関してもタイムゾーンをうまく利用して、稼働時間のリレープレイを、オンサイトとオフショア間で対応
- 定期的なオンサイト・イベントづくり
- 定期的に現地集合し、お互いが顔合わせで議論する場を設ける。昨今ではリモートワークが主流であるが、集合することによってステークホルダーのモチベーション向上、構築意識の実感を図っていく。
- 相互理解の醸成
- 各国の国民性を理解、尊重し、日本方式を共有しつつ、意見を聞き入れ、お互い納得するプロジェクト・ドライビング
国際実証実験における、体制づくりのポイント
実証事業の目的を正しく理解した部隊が、プロジェクトをリード(コンサルティング)する一方、現地での設計・生産が完結可能な体制をくみ上げることが、国際実証実験の体制づくりのポイントになります。
今回のプロジェクトでは、次のような体制作りが、成功のカギとなりました。
- 欧米のEV関連事案を多く実績を持つ、マレーシアの制御ソフトウェア開発企業が、VCU*開発を担うことによって、運航安全性の確保を確立(*Vehicle Control Unit:車両の統合制御電子機器)
- 日本の意思を正確に捉えることができる、現地コンソーシアム代表と設計会社が、EVバス構築のパワートレインやEV機器冷却システムのモックアップ、設計、構築を担当
- 本業で製造実績豊富な現地メーカに委託することで、安定して車両と車体を供給
- 常に日本と密に連携できる、日本メーカ現法のサイトマネージメント
当社は多くのプロジェクトマネジメントコンサルタントが在籍しており、幅広い分野でのグローバルプロジェクト・プログラムのマネジメント支援実績がございます。