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海外を目指すITエンジニアのための「グローバル・プロジェクト」の実務ノウハウ

海外プロジェクトにおける「現地の専門家集団」との付き合い方


海外を目指すITエンジニアのための「グローバル・プロジェクト」の実務ノウハウ[第6回]


2018.7.6

五嶋仁

高木右近日向

前回は、海外での業務システム構築において、知っておくべき税制・法制度を取り上げました。今回は、現地の専門家たちと上手に付き合う方法を見ていきます。

本当にプロジェクト体制が組めるのか?

法対応や税制対応では、その国や地域のコンサルタントが必要です。ところが、国や地域によっては専門コンサルタントの数が限られていることがあります。

ブラジルで、ERPパッケージとしてOracle E-Business Suite(以下EBS)で構築しているシステムを展開したときの話です。ブラジルではEBSよりもSAP(競合するERPパッケージ)のほうが圧倒的にシェアが高く、EBSのコンサルタントを集めたところ、プロジェクト開始時点で必要な領域の専門家がなかなか集まらず、プロジェクトを進める途中で次第に人が入ってくるという状態になってしまいました。

この経験から、現地におけるパッケージソフトのシェアと、その国や地域で対象とするパッケージソフトのコンサルタントをアサインし、本当にプロジェクト体制が組めることを事前によく検討しておかなければならないという教訓を得たのでした。

専門家を束ねるクロスファンクショナルなチームを作る

海外の専門家は、自分の専門以外については無関心ということが多いので、注意が必要です。ある意味責任感のある態度ですが、他の領域に対する考慮は一切してくれないことがあるので、それを体制で補う必要があります。

ブラジルで、ERPパッケージを旧システムからEBSに移行したときの話です。

あるブラジル専用モジュールを担当するコンサルタントに移行の留意点を確認したところ、「自分の担当したモジュールは移行対象でないから大丈夫」との返事がありました。しかし、そのブラジル専用モジュールを入れることで、他のモジュールの税率計算などが変わってくることは教えてくれず、日本人メンバーがそのことに気づいて指摘するまで課題が埋もれていました。こちらは絵まで描いて説明したので、状況は理解してくれたのですが、「それが私にどう関係があるのか」と聞き返されて、ぐったりしました。

解決策としては、こういった専門家を束ねるクロスファンクショナルな専門家チームを用意することです。対象国や地域のメンバーでそのようなチームを作るのがベストですが、現地固有の法税制や機能について日本人がキャッチアップするのは難しく、その現地リーダーと話をするほうが得策です。

他の件と同様、契約段階ではこのようなチームを用意し、役割と責任を明確にしておくことが重要です。

自分の専門外領域を含むマネジメントが必要なクロスファンクション・チームに対しては、インセンティブとして成功報酬を約束しモチベーションを上げることも有効です。

また、なかなかこのようなチームを作ることは難しい(特にリーダーを探すのが困難)ので、一度成功したチームとは将来同様の案件があったときに同じメンバーを集められるような信頼関係を構築しておくことも重要です。

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