事例
2020.7.08
業務コンサル・事例 - 販売:チームセリング
計画遂行力の高い販売組織で対象市場を攻略
プロジェクト背景
炭素繊維の加工製品を扱うL社
L社 の炭素繊維の加工製品のメインは半導体製造装置の部品 です。市場変化が激しい中で、海外市場では苦戦しつつも売上を維持していますが、日本国内の市場は減少傾向 。しかし、国内の 市場自体は縮小しているものの、半導体向け以外の用途に底堅い需要があり、競合他社は売上を伸ばしていました。つまりL社のシェアが奪われている状態です。
国内の販売体制は、地域ごとに販売支店を配置し、顧客対応を行っていました。事業本部では各支店から集めた売上見込みを集約し、そのまま事業計画に反映させるボトムアップ型の予算編成。各支店は既存顧客だけの数字を提出し、新規顧客開拓は考えておりません。このままの状態が続けば数年後には国内市場は撤退も視野に入れなければなりません。
もともとL社は複数事業を持つメーカーの事業部の一つでしたが、本体から事業部が切り離され100%子会社となったことがきっかけとなり、これまで問題視されることのなかった国内販売にもメスを入れる事になりました。
市場を取り巻く環境変化
エンドユーザーである半導体市場は需要変動が大きく、工場の閉鎖/転用が数年の間に一気に進みました。これは事業撤退だけでなく、ファブレス・ファブライトへの移行が進んでいることも背景にあります。
一方 、炭素繊維の加工品は、半導体用途以外にも、産業部材・航空・宇宙・自動車・建材など幅広い分野で使われており、用途によっては拡大を見込める市場が多く存在します 。競合他社が売上を伸ばしていたのは、半導体向け以外で市場シェア拡大にシフトチェンジしたからです。
加工品は小型製品の需要 が多くありますが、従来の規格・既製品だけでは対応できません。この需要を把握し、製品を提案するためには、顧客との積極的なコミュニケーションが求められます。 また、営業担当ひとりの知見だけでは対応が不完全なため、営業段階から技術や開発を巻き込んだアプローチが必要となります。
<市場環境>
- 半導体工場の閉鎖/転用により国内需要が減少
- 競合他社は半導体向け以外の用途で市場展開
- 個別ニーズに合わせた製品設計
環境変化への対応ポイント
半導体向け以外での既存市場奪回 と、新規顧客の開拓を指向。ターゲット市場は産業用部材(半導体以外)を中心に、建材の用途、公共交通機関用途としました。これらを経営計画に反映し、計画遂行力の高い販売組織へ変革するためのコンサルティングを実施。
対象市場を攻略するためシナリオを策定
問題点 | 対応ポイント |
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組織的な販売体制を構築
問題点 | 対応ポイント |
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活動成果とポイント
国内売上高の増加(前年比) ・・・ 20%
※利益率は維持
新規アカウントの増加 ・・・ 20件
※ 2回以上の継続受注があるアカウントのみ
既存顧客の受注件数増加 ・・・ 30%
対象市場を攻略する販売体制の3つのポイント
- 「売れる数字」から「売りたい数字」へ
⇒ 予算編成プロセス見直し(ボトムアップ型からトップダウン型へ)、展開計画の立案、価値訴求ポイントの設定、対象製品・サービスの定義 - 具体的な行動へ繋げるためのシナリオ
⇒ アカウントプラン、行動基準のロールモデル設定 - 組織的な提案体制
⇒ 各部門の機能設計、部門間連携の仕組み、情報共有システム(しくみ)
今回の事例紹介では組織デザインを中心にご紹介しましたが、運用段階では組織マネジメントが重要なポイントとなります。組織マネジメントの事例については別の機会にご紹介したいと思います。
他業界での販売組織改革事例
非鉄金属、自動車部品、電子材料など